淡彩編チュートリアルについて
淡彩編で描ける絵について
ArtRageの水彩ツールとぼかしナイフを使って、かんたんな淡彩画を描けるようになります。イラストや静物など、シンプルな初心者向けモチーフに向いています。
※伝統的な(トラディショナル)水彩画の描き方もできますが、やや上級者向けのため別の機会にご紹介する予定です。
ArtRage自体の基本操作は内容に含まれません
ArtRageが初めてという方は、まず先にチュートリアル「インクペンで簡単なイラストを描こう」をおすすめします。淡彩編では出てこない、描く/消すの基本が詳しく出ています。
絵画用お絵描きソフト(アートレイジ)について
以下のArtRage各アプリで利用できます。リンク先より購入が可能です。
- PC版(ArtRageフル機能版、ArtRage Lite):ArtRage公式サイト または Microsoft Storeにて販売中
- iOS版:App Store
- Android版:Google Play
ArtRageをお持ちでない方は、PC用の無料体験版が利用できます。ペンタブがなくてもマウスで描けます(ちょっと大変ですが(^^ゞ)。
線画ファイルを取り込む
線画ファイルをダウンロードする
このチュートリアルで使用する線画ファイル「usagi.png」です。ダウンロードして、デスクトップなどわかりやすい場所に保存しておいてください。
シンプルな淡彩画を描いてみよう(水彩画初級)用線画ファイル
線画ファイルをArtRageに取り込む
Artrageを起動します。メニューの「ファイル」の中にある「画像をインポート」を選択します。
「デスクトップ」を選択し、先ほどダウンロードした「usagi.png」を開きます。
キャンバスを指定する
PNGファイルがインポートされました。背景の透過部分はモザイクで表示されています。現時点で、背景にキャンバスは設定されていません。
今回は水彩画なので、水彩画らしいテクスチャの紙を使いたいと思います。メニューの「表示」の中にある「キャンバス設定」を選択します。
「キャンバスのプリセット」(※一部字が欠けてます)をクリックし、「キャンバスのコレクション」を選択します。
「Paper」の中にある「Tiny Gain」を選択。「OK」をクリックします。
ArtRage専用ファイルとして保存する
キャンバスを設定したことで、背景色が表示されました。
では、忘れないうちにファイルを保存しておきましょう。
メニューの「ファイル」の中にある「作品を保存」を選択します。
保存先はわかりやすいように「デスクトップ」を指定します。ファイル名は初期設定のままでかまいません。「保存」をクリックすると、ArtRage専用ファイル(.ptg)が作成されます。
色を塗る①ベースを平塗り
この淡彩編では、2段階にわけて色を塗っていきます。モチーフの基本となる色を全体に塗る「ベース」、それから陰や影をつけて立体感を出す「陰影」です。
まずはベースを塗っていくことにしましょう(^^)
線画レイヤーをロックする(※PC版のみの機能)
これからウサギに色を塗っていきます。
その際誤って線画レイヤーに色を塗ってしまわないよう、ロック(※描き込み不可状態)にしておきましょう。
カラーピッカーの右上にある「レイヤー」をクリックします。
線画レイヤーの上にカーソルを載せます。鍵マークをクリックし、「すべてをロック」を選択します。
豆知識:Artrage5のレイヤーのサムネイルを大きくするには?
旧バージョンに比べて、Artrage5以降のレイヤーサムネイルは表示が小さめです。
使いにくいということであれば、「レイヤー」のオプションメニューから「ラージレイヤープレビュー」を選ぶと少し大きくなります。このチュートリアルもその状態でキャプチャしています。
ベース色用レイヤーを追加する
線画レイヤーの下にベース色用レイヤーを追加します。「レイヤー」パネル内の左下にある「+」をクリックします。
新たに追加されたベース用レイヤー(「レイヤー2」)をドラッグし、線画レイヤーの下へと移動します。これは線画が塗りに隠れないために行っています。
もしどれがどのレイヤーかわからなくなりそうでしたら、「線画」「ベース」などにレイヤー名を変更されてもかまいません。
ウサギのベース色を指定する
ウサギのベース色(ピンク)を塗っていきます。
豆知識:色見本の使い方
ウサギの着色には、無料配布されている「Crayola」という色見本を使っています。詳しい使い方は、色見本の使い方動画をご覧ください。
使わない方、モバイル版ご利用の方。下記の図を参考に、似た色で塗ってもらえれば大丈夫です。また一度作った色は「色見本」に追加しておくと、あとから簡単に呼び出せます(^^)
では実際Crayolaの色見本を使ってみたいと思います。
まず色を選びやすいように、色名を表示しておきましょう。
色見本のオプションメニューをクリックし、「色名を表示」を選択します。
もし名前がアルファベット順に並んでいなかったら、もう一度オプションメニューを開き、「色見本をソート」の中にある「名前順」を選びます。これで順番に並ぶはずです。
さっそく色を選んでみます。色見本の一覧から、「Piggy Pink」(オプションメニューから色名表示できます)を選択してください。
豆知識:
水彩画を描くときは必ず原色を保存します
本物の水彩と同様に、Artrageの水彩も絵の具を水(うすめ液)で薄めて色を塗っていきます。
この薄めた色を再利用したいとき。スポイトツールを用いても、元の色は抽出できません。あくまで薄い色として抽出されます。どの色をどれだけのうすめ液で薄めたか、は記憶されません。
Crayolaを使わずに自分で作った色を使う際は、必ず色見本へ追加しておいてください。そして、うすめ液はどれくらいかメモしておいてください。
色見本への登録以外の色の保存方法
色見本へ色を保存したくない場合。キャンバスの隅に、不透明度100%のインクペンで色を塗っておくというやり方でも構いません。スポイトを使えば、いつでも色を取り出せます。
またPC版であれば、「参照」パネル内の「スクラップ」を利用するとキャンバスを汚さずにすみます。
水彩筆を設定する
ツールピッカーから「水彩」を選択します。(※左隣りにある油彩と見た目が似ています。間違えないよう注意)
ツールピッカーの右にある「プリセット」をクリックします。
「Watercolor」の中にある「Dried Strokes」を選択します(※選択後、このプリセットは閉じてしまってかまいません)。
豆知識:Dried Strokesってどんなプリセット?
乾いた筆という意味のプリセットです。
水彩では、一度塗った絵の具を乾かしてから上に塗り重ねるという基本技法があります。乾燥させることで下の色に滲むことなく色を重ねられます。重ね塗りを利用した重色技法もあります。
これらを再現するのに向いているのが「Dried Strokes」です。うすめ液をたっぷり使った設定になっているため、色が淡く、透明度が高い絵が描けます。
色塗りの前に、1つ大事な注意点があります。この「Dried Strokes」で塗り潰すときは、なるべく1範囲=1ストローク(一筆)で行うようにしてください。
上の図で見たように、たとえ同じ色であってもストロークが分かれてしまうと、重なった部分で重色効果が起こります。つまり、色むらになります。
もし色むらができてしまっても、大丈夫。あとで修正のやり方を紹介します。今は気にせず進めちゃってください。
ウサギのベース色を塗る
では一番狭くて塗りやすい部分、ウサギの足から塗ってみましょう。
こんな感じですね。はみ出ても消しゴムで削ればOKです。
次は耳ですね。耳の中は塗り残します(※水彩では基本的に白い絵の具を使いません。白は塗り残しで表現します)。
いったん全部塗って、あとから耳の中だけ消しゴムで消してもかまいません。
お次は頭です。眼の部分は白く塗り残しておいてください。いったん全体を塗ってから、眼の部分だけ消しゴムで削除します。
上にある耳や左下にある花にかからないよう注意!
手と胴体は一緒に塗ってしまいます。花と茎、つぼみは白く塗り残してください――って、さすがに難しいですね(^^ゞ あとで小さいサイズの消しゴムで消すのがいいと思います
あと残っているのは花ですね。これは最後に塗りたいと思います。今はそのまま残しておいてください。
絵を修正する(※必要な方のみ)
ウサギに陰影をつけていく前に、水彩画における修正方法をご案内します。これまでの過程で色むらや塗り残しが出ている方はここで修正しちゃってください。
特に問題がない方は、次の「色を塗る」へ進んで下さい。
色むらを消す
たとえば、こんな感じで色むらがあったとします。
すべての修正テクニックは、「パレットナイフ」というツールを使って行います。
ペイントを伸ばしたり、ぼかしたり、拡散したりと様々な使い方ができるツールです。特に水彩・油彩の技法表現で活躍します。
ツールピッカーの中にある「パレットナイフ」を選択します。
パレットナイフは設定項目がやや複雑です。すべてを理解した上で扱うのは難しいのですが、プリセットを使えば簡単です。
ツールピッカーの右にある「プリセット」をクリックします。
「Hard Out Smear」を選択します(※選択後プリセットは閉じてかまいません)。
このプリセットを使うと、ペイントを伸ばすことができます。
今回はそれほど大きな色むらではないので、ツールサイズは5%程度にしておきます。
(※パレットナイフはツールサイズがポイントです。大きすぎるサイズのまま使うと、問題のない部分まで影響が出てしまいます)
ナイフで隣接するピンク色をひっぱって、色むらの部分へかぶせます。色むらを完全に消せるまで、この動作を繰り返します。
白い塗残しを埋める
色むらを消したのと同じやり方で隙間を埋めます。ナイフで隣接するピンクをひっぱって、少しずつ隙間を埋めていきます。
ペイントは引っ張っているうちに薄くなります。薄いなと思ったら、別の場所から色を引っ張ってきてください。色むらにならないよう、丁寧に仕上げます。
「シンプルな淡彩画を描いてみよう:後編」へ続きます。