野外スケッチで時間がかかると、体もキツイ
野外スケッチでもたもたしているうちに、時間切れになってしまった。あまりに時間がかかってしまい、足がしびれて棒になった。そんな経験はありませんか?
私は元々遅筆なので、しょっちゅうあります。
仕事後に夕方から描き始めて、夢中になっているうちにあたりは真っ暗。そのまま未完成で終わる、なんてことが日常茶飯事です。

そんなわけで、「なんとかスケッチ速度を早く出来ないだろうか」、とずっと考えていました。



そう思っていたら、意外なところで良い方法が見つけました。それはバスです。
ゲーム感覚で楽しめるバススケッチのメリット
バスに乗っていると、停留所や信号で数十秒から1分程度停車しますよね。そのわずかな時間を狙ってスケッチします。
バススケッチには、こんなメリットがあります。
- スケッチ速度が上がる
- 描けるモチーフを素早く見極める力がつく
- 最低限形を表すために何を描けばいいか判断力がつく
あと、絵のリハビリにもうってつけだと思います。思考を止めて、体だけ動かす(なんかどこかで聞いた話だ…)のが有効なときって、あると思うんです。
バススケッチは時間内に描けるかという、ちょっとしたゲームクリア感覚でも楽しめると思います。



バススケッチのやり方
バススケッチの具体的なやり方です。
周囲の目が気になる方は最後尾の窓際がおすすめ。また一番なら、車内の人物スケッチ(※後術)にも挑戦できます。
紙はスケッチブックのように束ねられたものを使う、クリップボードに固定するなど、安定して描けるものを準備しておきましょう。


完全停止してからだと時間がありません。バスがスピードを落とし始めた時点で、何なら描けそうか候補を定めます。



構図を考えたり、繊細な線を描く時間はありません。とにかく手を動かします。
あまり描けなかった~と落胆する時間はありません。気を抜かず、すぐ次のスケッチに備えましょう。
あとはステップ3~5を繰り返す、という流れになります。
バススケッチのコツ
上手に描けなくても気にしない
最初のうちは何を描こうかとおろおろしてしまい、線を1・2本描いただけでバスが動いてしまうことも度々かと。
このページの最初にあげたスケッチを見て、正直「大したことがないな」と思われたと思います。でもいざバススケッチをやってみると、その大したこともないレベルでさえ慣れが必要なことに気付かれると思います。
多少描けるようになっても、最初のうちはこんな意味不明なものがいっぱいできます。




ひと目見て形がわかる程度に描けるには、練習が必要です。気長にやりましょう。


描けるものをすぐさま見極める
たとえば、車窓からとてもユニークな形のビルが見えたとします。けれども1分程度ではどんな形かを見てとるのが精一杯。とても形に表すところまで行き着かないと思います。



もちろん、あなたが興味をもったものを描いてください。でも興味を持ったものの中でも短時間で描けそうなもの、を描くようにします
思考ゼロで描く
では、車を描こうと決めたとします。その場合、「どこから描こうかな?」と考えていたらあっという間にバスが動き出します。
とにかく目についた場所から描き始めましょう。バスが停まった瞬間から手を動かします。考える時間をゼロにして、その分手を動かす時間にあてがうイメージ です。
全部描く必要はない
車は多数の線で構成されています。けれどもひと目見て車だと分かる程度の仕上がりでよければ、全部の線を書く必要はありません。



細部を描きたくなってもそこはグッとこらえ、まずは全体の完成を目指してください。車だと形が分かるところまで出来て、その上でまだバスが止まっていれば、細かい部分を追記します。
おまけ:最後部座席からの人物スケッチ練習
バスに長く乗るようでしたら、瞬発力を試されるバススケッチの連続では疲れてしまうと思います。
そんなときは、ちょっと息抜きで人物スケッチはいかがですか? 風景画に入れる人物の練習にもぴったりです。
まず、バスの最後部席に移動します。窓際でなくてもかまいません。
最高部であれば、前の人の背中がよく見えるはずです。そこをスケッチします。こんな感じでバスの座席も含めると雰囲気が出ます。


立っている人を描くのもいいですね。服装が入るので、背中だけを見て描いたときよりキャラクター性が強まります。


こちらも対象がいつ下車するかはわかりません。先程のバススケッチと同じように、あまり考えずにひたすら手を動かします。



それでも車窓からのスケッチに比べれば、十分ゆとりを持って書けると思います 一番初歩的な風景画における人物スケッチの練習としても最適です 。
まとめ:バススケッチで瞬発力を鍛えれば、普段のスケッチでもスピードアップ!
今日は描くスピードアップのためのバススケッチついてお話ししてみました。
俗に言う「スピードスケッチ」「スピードドローイング」等に興味がないという方でも、ぜひ一度トライしてみることをおすすめします。
厳しい時間制限のあるスケッチに慣れると、スピードはもちろん、観察力もアップまちがいなし! 普段のスケッチに戻った時「こんなに時間があったのか」、と改めて気付かれると思います。



時間に追われるという意味では、旅スケッチの練習にも使えると思います。特にツアーに参加しながら描く場合、一箇所にとどまっている時間が少ないですよね。バススケッチで鍛えた瞬発力がきっと役に立つはずです。
また今回は筆記具にペンを使いましたが、水筆とミニパレットがあれば水彩でもいけるかも? いろいろ試してみてくださいね。
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