孤独は特別な状況じゃない
孤独を感じたことはありますか。私は子どもの頃から何度も「自分は孤独だ」そう感じたことがあります。
いじめられて友達がまったくいなかった時、長年勤めた会社で派遣切りに遭ったとき、父親とひどいケンカをして「出て行け!」と言われたとき、個人事業主として会社員の道を捨てたとき、卒業によって友達と別れたとき、生まれ育った街を離れるとき、など。
孤独は人生のふとした瞬間に姿を表します。時には部屋でぼーとっとしている時にも現れます。暗い孤独を感じて言い知れぬ不安を覚えたこと、きっあなたもと一度や二度あるのではないでしょうか。
孤独は決して特別なものではなく、誰しもの心の奥に住みついている身近な存在だと私は思います。
普段は目に見えないその孤独が、心にダメージを受けたり、心身が弱った状態のときだけ見えるようになる。そんな気がします。このように身近な存在なので、孤独にとらわれたとしてもそう珍しいことではありません。
切り捨てられない孤独と上手に共存する方法
孤独を強く意識しないよう気をそらす
いわば心の一部である孤独を力づくで排除することはできません。かといって、あまり強く孤独を感じるようだと心身を病んでしまうことも。
ではどうすれば孤独と上手に共存できるでしょうか。心が孤独を強く意識しなければいいわけですから、他のことに心を奪われるようにすればよさそうですね。
とはいえ、心が大ダメージを食らうと他のことを考えなきゃと思っても難しいですよね。かつての私もそうでした。パワハラに負けて会社を退職した後の数ヶ月は、なにをやっても気分が沈みがちでした。
でもそんな中でも気晴らしになっていたことがいくつかあります。ウォーキング、ブログ更新(パワハラの恨みを綴ってました(笑))、そして絵を描くことです。ウォーキングとブログは健康維持とストレス発散という目的があったものの、絵に対しては特になんの期待もなく始めたことでした。
絵を描くというサイクルが精神面にプラスの影響を与える
ブログ記事の挿し絵にするフリーイラストを探すのがめんどう。それなら、自分で描いた方が早そう。
私がパソコンで絵を描き始めたのは、極めて実用的な理由でした。
そうして絵を描くうちに、このお絵かきソフト(ArtRage)は油彩画や水彩画も描けるのだと気づきました。へぇー、おもしろそう。試しにやってみようか。そんな軽い気持ちで、図書館にある水彩画の教本を参考に描き方の研究を始めました。
描いた絵を試しにSNSへあげてみると、下手っぴだったにも関わらずいくつかのいいねをもらえました。
描き方を研究→試作品の絵を描いてみる→SNSへ投稿していいねがつく→モチベーションアップ→最初に戻る
このサイクルを繰り返すうちに、私は絵を描くことにはまっていきました。自分で試行錯誤した結果が作品、SNSにおける評価という目に見える形で返ってきたことが良かったのだと思います。
外の世界が理不尽で報われなくても。絵は描き続けていれば、必ず報われる
やったことがきちんと報われて、正当な評価を得られる。
私が会社に求めても得られなかったことを、思いがけず絵が与えてくれたのでした。
決して私の絵が上手だったわけではありません。なにせ、子どもの頃から実に20年以上も絵が描けなかった人間が初めて描いた絵ですよ(^^ゞ どうかお察しください、というレベルです。
絵の描き方を教えてくれた妹からは「これだと骨が折れてる」「頭がヅラ」とよく酷評されました。ブログには「よくこんな下手な絵でダウンロードされますね」(※当時イラストACに投稿していた)という至極当然なコメントをいただいたこともあります。
それでも絵を描くたびに、少しずつうまくなっているという手応えを得ていたので私は気にしませんでした。SNSではどんな落書きみたいな絵でも不思議と誰かしらがいいねをしてくれました。
絵の外の世界の私は無力で、当事者に文句を言うことさえできませんでした。
けれども絵の世界では描けば必ず作品という成果を得て、自分の努力次第で上達していける――ささやかですが、人生を変えていける――という確信がありました。これが希望となり、退職以来落ち込んでいた私の心を支えてくれたのでした。
そして家族や友人に見せても恥ずかしくないレベルの絵が描けるようになった頃、私は孤独を抜け出して動き出すことができました。
今でも強い孤独を感じてどうにもならないとき、私は絵を描きます。
趣味の絵を描くことで、生きる希望を持てる
降りかかる出来事は自分ではどうしようもない。正しいことさえ通らないこともあります。
けれども絵の世界は違います。丁寧に時間をかけて描き上げれば、絵は必ず応えてくれます。
創造の翼を思うままに広げて、自分の世界を築くことができます。そこはおとぎ話のような、努力した者が報われる世界。そして自分自身が創造主となれるファンタジーのような世界。
(※あくまで趣味で絵を描く場合の話です)
昔話の講座に通っていたとき、こんな話を聞いたことがあります。
昔話の多くは主人公のハッピーエンドで幕を閉じますよね。子どもたちはそんなお話を通じて、「がんばって生きていれば、自分も幸せをつかめる」と生きることへの肯定感を強めるのだそうです。
私が絵に感じたものも同じでした。絵を描きながら、生きることに対して前向きな気持ちを取り戻していったのです。もしかすると、こういった趣味を世間では生きがいと呼ぶのかもしれません。
長い人生を生きていれば、うまくいかないことは山ほどあります。思いがけず孤独を味わう場面もあります。そんなとき絵を描くという趣味があれば、どれだけ心は救われるでしょうか。
「私にはこれがある」そう言える趣味がひとつでもあると、時に孤独な人生はずいぶん生きやすくなるように思うのです。
それでも、「私は絵なんて描いたこともない。きっと難しすぎるのでは」と不安に思われたら、まずは一度試してみませんか?
自分には向かないと思っていたことでも、年月が経ったら変わっていた。やり方を変えたら、できた。ということもあります。物は試しで一度体験してみるとなにか発見があるかもしれませn。
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