iPadで油絵を描いてみる②お絵描きアプリの油彩ツールで描く

iPadで写真から描いたチューリップの油絵

iPadで油絵の2回目です。前回は、油絵初心者さん向けに写真の選び方をご紹介しました。

今回は実際iPad miniを使って描いてみたいと思います。

目次

iPadで油絵を描くために必要なもの

最低限必要なもの

  • iPad(miniやProでも可)
  • 次の機能を備えたお絵描きアプリ→油彩ツール、画像参照ができる機能(レイヤーやトレースなど)、スポイトツール(写真から色を抽出できるなんらかの機能)
  • 油絵の元となる写真(前回の記事で数点ご紹介しています)

お絵描きアプリはいつものように、Artrage(アートレイジ)を使いました。ぼかし用ナイフ各種も使えるので、サクッと背景が作れて便利です。

他にもProcreate(プロクリエイト)など油彩ツールのあるアプリであればOK。リアル画材の表現に強いアプリであるほど、本物らしい仕上がりになります。

油絵の元となる写真を下に引いてトレースするため、画像参照またはレイヤー機能が必要です。ほとんどのお絵描きアプリに搭載されている機能かと思いますが、念のため。

(補足)スマホやPCでも油絵を描けます

今回はiPadによる特集ですが、スマホやPCでももちろん油絵を描けます。小さい画面での操作に慣れている方はスマホでチャレンジもいいかもしれません。最近はスマホで絵を描く人も多いみたいですしね(^.^)

PCで描いてみたいなという方には、Artrage専用ですがより詳しいチュートリアルもあります。Artrageは無料体験版もあるので、気が向いたら試してみてくださいね。

お好みでどうぞ(あると便利なもの)

  • 筆タイプのスタイラスペン
  • 先の細い(または細く描ける)スタイラスペン

今回は油絵ということで、普段のイラスト作成ではあまり使わない「Sensu Solo」(※2022年5月現在販売終了)を久々に使ってみました。

広い面を塗るとき、これはおすすめです。筆に持ち替えると「あ、なんか芸術家っぽい」とテンションが上がります。油絵や水彩画など、面で描く場面が多い方は筆タイプのペンを一本持ってるとおもしろいかも。

油絵や水彩画を描くならsensu brushもいい

筆タイプのスタイラスペンや指では、細かい部分の描き込みがやりにくいことも。そんなときは先の細いスタイラスペンがおすすめです。

油絵を描く手順

また変わり種として、「JOT Pro」のように可視性がある(普通のペンだとペン先が邪魔)スタイラスペンも使いやすいです。私もiPadで描く時に愛用してます(^.^)

Adonit Jot Proはずれが少ない

前回ご紹介したバラのつぼみの写真を使って、制作過程の画面キャプチャを撮ってみました。これを元にご紹介しますね。

お絵描きアプリに油絵の元となる写真を取り込む

iPadとお絵描きアプリで油絵を描く2回目-1

お絵描きアプリにバラのつぼみの写真を取り込みます。トレースや参照機能がなければ、レイヤーへインポートしてもかまいません。

つぼみの輪郭線をなぞる

iPadで写真の輪郭をトレースする

鉛筆やペンツールを使って、つぼみの輪郭をなぞっていきます。この線が塗りの境界を示す目安となります。

写真を下に引いているので、なくても大丈夫という方もいるかもしれません。私は作業中写真を非表示にする場面もあるため、手はかかりますが線を描いてます。

この線はあくまで目安。最後には消してしまいます。ですので、色はなんでもかまいません。太さは輪郭線がつぶれない程度の細さにします。

できました。輪郭線の完成図です。

iPadで描いた鉛筆ツールによる下書き完成図

いよいよここからが本番です。写真から色を拾いながら描いていきます。色塗り用に新規レイヤーを作成してから始めましょう。

Artrageのようにカーソル位置の色を抽出できるトレース機能があれば、それを使うのが一番楽です。もしなくても、スポイトツールでその都度色を拾えばOKです。色彩感覚のある方はご自分で色を作ってもかまいません。

写真の色を薄くして、目立たなくする

油彩の色を目立たせるために、写真の色を少し薄くしておきます。透過率を少し上げてください。目安は輪郭線がはっきり見えるくらいです。

iPadでトレースしやすいよう、背景の写真の透過率を上げる

色を塗る(第1段階)

写真の色を拾いながら、おおまかに塗っていきます。油彩ツールでもかまいませんし、絵の具系のローラーがあればそれで塗ってもかまいません。細部は次の段階で仕上げます。

ポイントはストロークがあまり大きく、長くなりすぎないことですね。でも↓はちょっと細かくやりすぎました。もう少し大きいストロークでも大丈夫です。

油彩ツールでおおまかに色を塗っていく

色の境界をはっきりさせるために、まずは境界に沿って塗り、それから内側を塗るという順番がよろしいかと。今の段階ではあまり明暗がはっきりしなくてもかまいません。

色の境界をはっきりさせるために、まずは境界から油彩ツールで塗っていく

花弁が終わったら、茎や葉も同じように塗ります。ここが一番大変な段階かと思いますが、がんばりましょう(・_・;) こんなとき筆タイプのスタイラスペンがあると少しは楽に塗れます。

色の境界をはっきりさせるために、まずは境界から油彩ツールで塗っていく

できました。第一段階の色塗り、終了です。

iPadでチューリップをざっくり塗ったところ

引き続き、第2段階です。ここでレイヤーを分けてもかまいませんし、分けなくてもかまいません。レイヤーを分ける場合には、今色を塗ったレイヤーの上に1枚追加してください。

第1段階レイヤーを引き続き使う場合はレイヤーを複写しておく

もしレイヤーを分けない場合には、第1段階で塗った色と混ぜ合わせながら塗っていくことになります。私はそちらの方が好みだったので、同じレイヤーのまま第2段階を塗りました。

でも万が一やり直す事態を考えて、今の段階で色塗りレイヤーを複写して保存しておいてください。

第2段階は少し細めの油彩ツールで塗る

第2段階ではもう少し細かく色を塗り、明暗をつけていきます。この段階は油彩の経験がない(面で描く、という意味を知らない)方には感覚的に難しいかもしれません。私もそうでした。だいたい2・3回やると慣れます(^.^)

油彩ツールの濃度を半分くらい、ブラシサイズも第1段階より小さくして塗っていきます。「えっ、もう全体的に塗ってあるのに、今更どこを塗るの?」と思われますよね。

塗るというよりは、面をきれいにしていくと言った方が適確でしょうか。色むら、塗りむらがある部分、それから明暗を強調したい輪郭部を中心に描き込んでいきます。

↓のキャプチャでは、左側にある花弁の明るい部分が他の面よりなめらかになっているのがわかりますか? これが第2段階の作業です。

細い油彩ツールで色むらのある面をきれいにしていく

写真を参考にしながら、明暗をはっきりさせていく

もしお絵描きアプリに画像参照機能があれば、隣に写真を並べながら進めましょう。ただ写真から色を抽出するだけでは、明暗の配分がいいかげんになってしまうことがあるからです。

うまく色を拾えないときは正しい色のエリアから色を伸ばしてくる、自分で作った色を塗るなど、写真の色配分をなるべく忠実に再現します。

この地道な作業を繰り返せば、できあがりです♪ これで峠は越えました(^^ゞ

背景を塗る

最後は背景です。背景もつぼみと同じ描き方で完成させることができます。

でももう疲れちゃったという方は、もう少しさっぱりした背景でもいいと思います。その方が主役のつぼみも目立ちますしね。

一例として、サクッと5分でできる背景の作り方をご紹介します。パレットナイフという絵の具を伸ばしたり、ぼかしたりできるツールを使います。Artrage以外のお絵描きアプリでも同様の機能があればこの方法でいけると思います。

背景用のレイヤーを最下層へ追加します。

スポイトを使って一番暗い背景色を抽出したら、それを斜めかつ適当な距離をあけて並べていきます。油彩ツールを使う場合は、一番濃い濃度で太めのサイズにします。↓では絵の具チューブを使っています。

iPadで花の背景を描く

同様に、一番明るい色、中間の色も並べます。あまり隙間が空かないように色を詰めてください。

Artrage for iPadの絵の具チューブで花の背景を描く

色を敷き詰めたら、パレットナイフで絵の具を溶かしていきます。

これで完成です\(^o^)/

iPadで写真から描いたチューリップの油絵

少しずつ描き進めるのがおすすめ

油絵の完成までにかかった時間はだいたい3時間ほど。実はこの写真から描くのは2回目なので(^^ゞ、初めての方はもう少し時間がかかると思います。

初めての人が一気に仕上げようとすると、疲れて嫌になってしまいます。じっくり焦らず、手の空いている時間にゆっくり描き進めてみてくださいね。

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