デジタルアートの線画は手描きもあり
デジタルアートというと、線を描くのも塗りも全部デジタルで行うのでは?
そんなことはありません。「線画はお気に入りの筆記具で描いて、着色はデジタル」という合せ技もありなんです。
私もデジタル・アナログ両使いなので、よくこの方法で絵を描いてます。
今日は手描きのスケッチからデジタルアートを作る流れをまとめてみました。よかったら参考にされてみてくださいね。
手描きスケッチを描く
線画に使う筆記具について。私はTwsbi(ツイスビー)社の万年筆:ダイヤモンドmini ALを愛用しています。他の筆記具やデジタルでは味わえない、ぬるぬるとした描き心地がお気に入り。

この万年筆で、こんな感じに風景などスケッチしています。

もちろん鉛筆やミリペン等でもかまいません。お好みのものを使って描いてください。
スキャナーまたはカメラを使ってスケッチを画像化する
スキャナーとカメラの使い分けポイント
手描きスケッチはお絵描きソフトへ取り込み、そこで着色します。そのためにはまず、スケッチを画像化する必要があります。
私は2つの方法の両方とも使っています。使い分けのポイントとしては、
- 作品のクオリティを高めたい or スケッチが鉛筆である→スキャナーを使用
- 試作的にサクッと色付けしたい or 花1本だけなどモチーフがシンプル→カメラを使用
スキャナーはEPSON社製GT-S650を使ってます。スケッチはすべてA5で描いているので、最大A4サイズのこの機種でも十分。もちろんプリンターのスキャナー機能でも代用できます。

鉛筆スケッチにはスキャナーを
線が薄い、もっと濃くしようと編集しても線が荒れてしまって作品に使えない。という問題が頻発したので、鉛筆線画については原則スキャナーを使ってます。
万年筆やミニペンは線がくっきりしているので、カメラでもおおむね大丈夫です。
ただ夜に撮影すると画像が汚くなります(※特に安いスマホ・タブレットのカメラ)。修正の手間が増えたり、どんなにいじっても使いものにならないことも。明るい昼間を待って撮影するようにしましょう。
消しゴムで下書き線を消す(ペンスケッチの場合)

万年筆などのペンスケッチにおいて、鉛筆で下書きをしていた場合。スケッチが終わったら、練り消しと消しゴムで丁寧に鉛筆の跡を消します。
まず紙を傷めにくい練り消しを使ってみて、それでも残ってしまった箇所を鉛筆で消しています。
練り消しは親指サイズくらいにちぎって、それをスケッチの上で転がします。これで大半の鉛筆線が消えます。
さ、これでアナログでの作業は終了です。次はいよいよデジタルでの作業に入ります(でもデジタルアートの道はまだまだ遠い)。
スケッチ写真の修正
今回は手早く仕上げたかったので。スマホでスケッチを撮影しました。なにぶん100円で買った機種なので、昼間に撮っても映りはこれくらいです。

このスケッチ写真をパソコンへ送り、画像編集ソフトを使って修正をかけていきます。
どこまで何を修正するかは人によって変わると思いますが。私は主にこんなところを修正しています。
- 線のメリハリ
- 明るさ
- 傾き
- 歪み
- コントラスト
- スケッチの間違い
- 不要な映り込み・汚れの削除
私はおおざっぱな性質なので。たぶん他の絵描きさんよりは修正項目が少ない方だと思います。
「こんなに修正するのは嫌だ―!」という方は、最初からスキャナーを使うと少しは楽になるかと。手順3・4が不要になり、1・2・5も調整が簡単になります。
ちなみに画層編集ソフトは、Afinity Photoを使ってます。Photoshopに近い機能が揃っていながらはるかに格安、かつ買い切り。とてもコスパが良いソフトです。

無料ソフトやオンラインの画像編集サービスでも問題ありません。やりたい修正ができればOKです。無料ソフトなら、GIMPあたり機能が揃っていると思います。
それから。ペンスケッチで失敗した箇所があれば、ここでこっそり直しておきましょう。たとえば、「描いちゃいけないところに描いちゃった」ような部分ですね。
諸々の修正をかけたスケッチがこちら。SNS投稿用に、いったんアナログ作品として完成させました。背景色は紙の地の色に近い茶色へ修正しています。

ここまで終わると、やっとお絵かきソフトへ取り込める状態になります。デジタルアート化への道はこれで1/3ほど来たことになるでしょうか。
背景色の削除
背景色を残す場合の注意点
おっと、ひとつ大事な問題を忘れていました。
スケッチ写真には紙の色がそのまま背景色として写っています。先程の花の例だと茶色ですね。
背景色を残す場合。よりアナログ感が強くなり、趣のある作品に仕上がるというメリットがあります。一方、色味と彩度が若干ちがって見えるという欠点があります。
ちょうどこんな感じですね。ぱっと見気にならないかもしれませんが、実際スポイトで計測すると色の違いが生じています。

この微妙な差が気になってしまい、「少し彩度が落ちるから、この緑はもう少し明るい色に変えて…」と頭の中で計算が始まってしまう人は、背景削除をおすすめします。直感的に描けなくなってしまうからです。
背景を削除する
背景の削除は画像編集ソフトで行うか、お絵かきソフトの機能(※機能がないソフトもあります)を使って行います。
私が使っているArtRage(アートレイジ)というソフトには、この背景削除が機能があります。今回はそちらを利用することにしました。
ツールの画面上で背景色をドラッグして選択すると、自動的に色が削除されます

※説明の都合上、手順が前後しています(※本当はお絵かきソフトへの取り込み→背景削除、の順番)
もし手持ちの画像編集ソフト・お絵かきソフトに背景削除の機能はなくても、以下のような無料のオンラインツールで削除は可能です。

お絵かきソフトへスケッチ写真を取り込む
お絵かきソフトにスケッチ写真を取り込む形としては、大きく次のいずれかになります。
- ファイル内に直接貼り付ける
- ファイル内には貼り付けず、外部参照の形で表示する
見た目としての結果はどちらでも同じものになるかと思いますが、私は直接貼り付ける方法でやっています。
「着色の関係上、スケッチのこの線は邪魔だった」って、あとから気づくケースもあるんですよね。そんなとき直接写真を貼り付けていると、すぐに目的の線を消しゴム等で消せて便利です(※外部参照ファイルはその場で編集できません)。
お絵かきソフトのインポート機能を使って、スケッチ写真を新規作成したファイルへ取り込みます。

これでやっと、色を塗る準備が整いました。後編へ続きます。

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