ArtRageで絵を描く前に知っておきたいこと

以下は同名タイトルの英語マニュアルを日本語訳したものです。そのため、少し硬い表現になっています。

こちらのページに、私が作成した日本語マニュアル各種があります。初心者向けの各画材チュートリアルもありますので併せてご覧ください。

ArtRageを起動すると、画面には空白のキャンバスが表示されます。描き出すのは非常に簡単。問題は「なにを描くか」を決めるだけ――。

このページではArtRageの基本機能について説明します。

まず、3つの重要な機能があります。ツールと色の選択方法、ペイントツールによる描画方法、ファイルの保存方法です。

ここで学ぶ基本は、ArtRageの世界を冒険する上で最小限必要となるツール、オプションに関する知識です。残りの機能はあなた自身で使いながら習得できるでしょう。

ArtRageというソフトは、アーティストが持っている画材一式のようなものです。絵を描くために、画材のすべてを使用する必要はありません。ArtRageの中にあるすべてのアイコンやツールを覚える必要はありません。

目次

ArtRageの黄金のルール

PCで絵を描くのは、本物のキャンバスでの絵を描くのと少し異なります。初めてのときに覚えておくといい、黄金ルールをご紹介しましょう。

1. ArtRageを起動すると空のキャンバスが作成されるるので、すぐに描き出すことができます

キャンバス

2.ペンを動かすと、ペイント(※選択中のペイントツールによって決まる画材のこと)が自動的に補充されます。一筆終えるたびに、ペイントを補充する必要はありません。

3.見た目が気に入らなかったら、今描いた部分を取り消すことができます。まっさらな状態まで、すべての操作を戻すことが可能です。失敗を恐れず、どんどん試行錯誤してみてください。

最後に、一番重要なルールをお伝えします。

ソフトがあなたの創造性を妨げるかも、と恐れないでください。

ツールや色をいろいろ試してみて、作品が台無しにすることはありません。ArtRageの世界で自由に遊んでいても、それでソフトが壊れてしまうことはありません。

ツールの選び方

すべてのペイントツール(※画材)は、ArtRage画面の左下にある「ツールピッカー」に表示されています。

ツールアイコンのいずれかをクリックすると、そのツールが選択されます。 現在選択されているツールが背景が緑に変わります。 下の例では、水彩ツールが選択されています。

ArtRageを起動した時、常になんらかのツールが選択された状態になっています。

ツールピッカー内の左下にあるボックスには、現在選択されているツールのプレビューが表示されます。 ここでサイズや筆跡の確認ができます。

ペイントツールのサイズを変更するには、このボックスの上でドラッグするか、クリックして数値入力を行います。

色の決め方

色に関する詳細は別の章で紹介していますが、ここでは基本をお伝えします。

ArtRageの画面の右下には、「カラーピッカー」があります。 カラーピッカーを使用すると、描画に使用する色を選択できます。

お絵描きソフトで色を選ぶのは、実際の絵画の場面で色を選ぶのとは異なりますが、似ている部分もあります。

絵画を描く時は、基本色を選んでから別の色を混色し、目的の色を作ります。 ArtRageでは、2つの部分から構成されるカラーピッカーにて同様の操作を行います。

カラーピッカーの外側には、色相を示す虹色の円弧が表示されています。この円弧の上でドラッグまたクリックし、使用する基本色を決定します。

たとえば、緑色が必要な場合は、外側の円弧で緑色の部分を選びます。

内側の大きな円弧には、基本色の輝度と彩度が表示されます。ドラッグまたはクリックし、色の濃さや明るさを決定します。

色を決めると、カラーピッカーの右下隅にあるサンプルが更新されます。次の一筆を描くときに使用される色が表示されます。

色選択の手順をまとめると、以下の3つのステップになります。

  1. 外側の円弧から、基本色(色相)を選択
  2. 内側の大きな円弧から、色の明るさや色の濃さ(輝度と彩度)を選択
  3. サンプルを見て、できた色を確認する→思うものと違っていたら、前の操作に戻る

最初の一筆を描く

ツールと色を選択したら、あとは簡単。キャンバスをクリックしてドラッグするだけで絵が描けます。

マウスを使用している場合は、左ボタンを押しながらドラッグします。

タブレットでペンを使用している場合は、ペン先を板につけたままドラッグします。

旧型のIntuos Draw(ペンタブ)には絵画ソフトArtRageの入門版がついてくる

タッチスクリーンを備えたタブレット端末にて、指を使って描きたい場合。指先を画面に触れさせたまま動かします。

このようにして描き出すと、カーソルの動いた後に沿って描画されます。

描き終えるには、マウスボタンを放すか、ペン先を板から離すか、指先を画面から持ち上げます。これで一筆が終わります。

ペイントは一筆が終わるたびに自動に補充されます。もう一度同じ様に描きだせば、同じ色の新しいストロークが描かれます。

直線を描くには、Cmd(Mac OS X)または Ctrl(Windows)キーを押しながら描きます。 Shiftキーを押したままにすると、直線を15度ずつ回転できます。

本物の絵の具と同じ性質を持つ画材

ArtRageのペイントツールで使用されるペイントは、厚さ(※油彩絵の具の盛り上がりなど)や水分の量など、本物の画材と同じような特性を備えています。

これはデジタルでありながら、本文の画材を使って作業している場合と同じように絵の制作ができることを意味します。

例えば、厚い絵の具を塗り付けてブレンドし、新しい色を作る。乾いた絵の具を塗り付けてエッジをぼかす、といった表現が可能です。

※補足:ArtRageでは先にペイントツールで描画した後、パレットナイフを用いることでぼかしなどの技法表現が可能です

油彩や水彩など一部のツールは、一筆に含ませる絵の具の量も調整できます。絵の具の量を少なくすることで、草など短いストロークを生かした表現もできるようになります。

水彩など水分を含んだ筆で塗ると、他の色を接触した時に色が混ざり合います。乾燥した筆で描かれた部分は、他の色と混ざることはありません。ナイフを使って、あとから混ぜることは可能です。

Artrageの水彩の特徴

※補足:ArtRageのペイントツールで描かれた線は塗りは、「濡れている(ウェット)」「乾燥している(ドライ)」いずれかの属性を持ちます。濡れた絵の具だと他の色と混ざる、乾燥してかわいていれば混ざらない、そのように考えるとわかりやすいかと思います。

油絵の具のように厚みを持つ画材も、キャンバス上に塗り拡げることが出来ます。そのままどんどん広げていくと、やがてはペイントは尽きてなくなります。

一筆に含まれる絵の具の量という特性があるため、狭い領域にペイントを厚く塗るか、広い領域に薄く塗るか、ユーザーの好みで表現の仕方を変えられます。

リアルな画材特性の例

ペイントが混ざり合う時、その色はブレンドの対象によって変化します。 2つの色を混ぜると新しい色が生まれます。混ぜ続けると、さらに新しい色が作成されます。

キャンバス上にペンキを塗り広げると、ペイントの層が薄くなり、最終的には乾燥した状態になります。本物のペンキで塗ったときと同じイメージです。

マーカーペンや水彩など水分を含むペイントツールは、塗られた面同士がふれあうとブレンドされます。

水彩で描きながら他の塗りに近づくと、濡れた領域同士が接触します。

完走状態のペイントに濡れたペイントが接触した場合には、このような相互作用は起こりません。乾燥したペイントは、その上から塗り重ねられても他のペイントとは混ざりません。

一部のペイントツールでは、一筆におけるペイントの量が自由に増減できます(※補足:「補充量」という設定があります)。

「取り消す」と「やり直す」

ArtRageには本物の絵の具で描くときと比べて、大きな利点が1つあります。それは前の操作を戻せること。書き損じによるミスを心配する必要はありません。

画面上部にある「取り消す」をクリックすると、色同士が混ざり合っている場合でも、直前の操作を取り消せます。何回分でも操作を戻すことができます

※補足:最後にファイルを開いた(または新規作成した)時の状態まで取り消しが可能です。入れ以前の状態には戻せません。

操作を戻しすぎても大丈夫。「やり直し」をクリックすると、「取り消す」で戻した操作をもう一度行うことができます。

作品を保存する

絵を描き終わったとき、または少し休憩したくなったら。作業を保存して、また後で開くことができます。

メニューの「ファイル」の中にある、「作品を保存」選択します。ファイル名と保存場所の指定が可能です。

作品を共有する

ArtRage作品ファイル(拡張子.ptgファイル)には、ペイントの厚さや湿り具合など、他のソフトでは表現できない多くの情報が含まれています。

そのためもし絵のファイルを誰かに送っても、その相手がArtRageを利用されていない限り、ファイルを開いて絵を見ることはできません。

ArtRageを持ってない友人に作品を送信したり、ネット上で共有したい場合には、一般的な画像形式(jpegまたはpng)として保存する必要があります。

画像として保存するためには、メニューの「ファイル」の中にある「画像をエクスポート」を選びます。 

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