どんな紙に絵を印刷していますか
印刷する紙の選択により、絵のクオリティが変わる
絵が完成したら、せっかくだから印刷して額縁に飾ってみたいですよね。
自分で印刷するならば、インクジェットタイプのプリンターを利用する方が大半ではないかと思います。プリントにはどのような紙を使っていますか?
これらの紙は必ずしもデジタル絵画/デジタルイラストに最適ではないケースが多いからです。
普通の紙とアート向きの高級インクジェット紙は何が違う?
アート作品向きのインクジェット紙は、普通の紙より厚みがあり、価格も高いのが一般的。販売作品、個展出典作品の印刷にもよく用いられます。
普通紙と高級インクジェット紙の違いはなにか? まずひと目見て明らかに違います。特に淡い色、グラデーションなど、色の表現力に差が大きなあります。後者の方がより繊細な色表現が可能です。水彩用紙のように細かな凹凸などの模様がついている紙も多いです。
といっても、安っぽいカメラでこれらの違いを伝えるのは難しくて。上の写真でもわかりにくかったと思います(汗)。他の作品ですが、ミラーレスで撮った写真もご紹介しますね。
ほぼ無修正なので、質感など確認しやすいかと。これは、色がふんわりと出やすいタイプの紙になります。
もう1つ、同じメーカーの違う高級インクジェット紙に印刷したものです。こちらは水彩画紙のような凹凸がついています。
あまり撮影の腕が良くないので、これで実物の7割くらいのクオリティだとお考えください。
少なくとも普通紙とはぜんぜん違うというのは、感じていただけたと思います。
高級インクジェット紙の選び方
高級紙選びに迷ったら、竹尾の紙から選ぶと失敗しない
「ひとまず家にインクジェットのプリンターはある。紙は何を選んだらいいの?」
デジタル絵画/デジタルイラスト作品はSNSやブログ投稿がメイン。印刷はあまりやったことがない、という方が案外多いのでは。
そんな印刷初心者さん向けに。紙選びの一例として、私が愛用している竹尾という紙の専門商社さんのアート向け高級インクジェット紙をご紹介していきたいと思います。
竹尾にはアート向きの高級インクジェット紙が数種類が揃っています。ほとんどの作品はそのどれかしらには合うのではないかと。まずはサンプルを取り寄せてテスト印刷、その結果を見て注文すると失敗がありません。
紙選びのポイントなどは他社メーカーにも通じるお話ですので、ぜひ参考にされてみてください。
まずはサンプル紙を取り寄せる
高級インクジェット紙は、ひとつのメーカーから複数の種類が出ているケースが多いです。それぞれ価格帯によるクオリティ、向いている作品などの違いがあります。
竹尾も複数の紙が出ています。以下のページから見られるので、のぞいてみてください。価格は、「紙を購入する」クリックして進んだページに出ています。
私は「全紙」というかなり大きいサイズで買っています。あらかじめ裁断されている紙は少し高くなるので、自分で裁断してコストを下げています(全紙についての説明はこちら)。
ハンブンコ、という裁断機で全紙をA5サイズにカットしています。最初の方は大きくて入らないので、紙を軽く折って突っ込みます。
竹尾のインクジェット紙は、お試しセットが用意されています。まずはそちらを取り寄せましょう。何分高級紙はお高いので、はやる気持ちがあっても慎重にいきたいところ。
お試し用の紙が届いたら、紙選択ためのテストを行っていきます。
印刷のサンプルを作る
届いたインクジェット紙には、紙の種類を示す番号が振られています。紙の厚みはプリンター設定時に確認したいため、私の方で追記したものです。
お試しセットには、紙の種類や特徴をなどを記した一覧が入っています。
お試しセットの紙をはがきサイズに切って、このような印刷サンプルを作ります。
私は複数の画材で絵を描くため、それぞれの画材ごとに最適な紙を見つける必要があります。そこで画材別の絵が配置されたデータを作り、プリントしました。
はがきサイズに裁断した紙の裏面に、紙名を記入しておきます。
印刷設定ですが、まずは竹尾推奨のものを試してみてください。なおCanonかEpsonのプリンターであれば、記載がない機種でもおおむね大丈夫かと(※私が印刷に使用した2台もここにない機種でした)。
印刷結果を見て、購入候補の紙を決める
サンプルに印刷した結果を見ながら、どの紙が良さそうか購入候補を絞り込みます。
私は主に以下の5項目をチェックしています。
- クオリティ
- 粗さ
- 色の再現度
- グラデーションの再現度
- 色の強さ
以下、各ポイントの詳しい説明です。
クオリティ
ひと目見て、作品として鑑賞に耐えうる美しさを感じられるかどうか。
粗さ
絵や紙、プリンターとの組み合わせによって起こります。高級インクジェット紙の中でも、特に低下価格の紙で発生しやすいです。
図のように細かい粒子が出る。ぼかしなのに、ぼかしとそうでない境界にエッジができてしまっている など。デジタルの元絵と比較し、目を凝らしてチェックします。
色の再現度
デジタル絵画/イラストを印刷すると、モニターと色の違いが多少出るのは当たり前。でもサンプルを並べて比較すると、赤みが異様に強いなど、色の出方に少しクセがある紙もあります。
グラデーションの再現度
グラデーション(花びらの中で色が徐々に変化する水彩画など)の色調変化がなめらかかどうか。安い紙や合わない紙だと、少ない階調でプリントされるケースも。
色の強さ
ふわっとした柔らかい表現になる紙があります。ぼかしを多用する作品に向いていますが、絵によっては色がうすすぎる仕上がりになることも
下のサンプルは油絵ですが、全体的に白っぽく、色が弱くなってしまっています。少なくともこの作品に対しては合いません。
同程度に評価できる紙が複数枚あった時は?
ひとまず、その中から1つだけ買って使ってみます。判断がつかなかったら、価格で選ぶか、適当に選んでかまいません。迷ってるということは、どれを選んでも大きな差異はないからです。
そうして実際いろいろな作品を印刷していくと、その紙の癖や向いている作品がよくわかってきます。
紙を使い切った時点で満足できていれば、同じ紙を再購入すればいいですし。違和感を感じる部分があれば、それを解決できそうな他の候補紙を買ってみます。
作品の雰囲気にあわせて別の紙がほしいと思えば、以前作ったサンプルを見返してみましょう。
高級インクジェット紙を選ぶ上で、他に考慮すべきポイント
印刷サンプルを作り、購入する紙を選ぶ方法をご紹介してきました。人によっては、こんな点も考慮されると良いかもしれません。
価格
高級インクジェット紙は、ピンからキリまであります。アマチュアの作家が個展やポストカードに使用するレベルから、著名な作家が販売作品に使用するレベルまで実に様々。
私が竹尾のお試し用紙に価格を書き込んでいたのも、印刷の品質と価格のバランス:コスパを見るためです。出展作品用には高い紙、グッズ作成用にはもう少し安い紙、と使いわけもありです。
最低購入枚数
あらかじめ規定サイズに裁断されている紙は、最低●枚から、100枚のセット売りのみなど、購入枚数にルールがあるものも。竹尾のようなお試しセットの取り寄せができないショップでは、合わない紙を大量購入しかねないのでご注意を。
販売サイズ
中にはA4など一般的なプリントサイズがなく、全紙のような大サイズ売りしかない紙もあります(※店頭やネットショップなど、売り場によって全サイズ対応、一部サイズ対応という紙メーカーも)。
あえて大きい紙を買って自己裁断し、安くあげる方法もなくはありません。ただし、ハンブンコなどなんらかの裁断機は不可欠と考えてください。カッターナイフやハサミでは相当な労力を伴いますし、なにより紙を傷めてだめにするリスクが高いです。
印刷可能なサイズか
高級インクジェット紙は、一般的にどれも厚みがあります。プリンターごとに利用可能な厚紙の上限があるので、事前にマニュアルを確認しておきましょう。
また厚紙は手差し印刷のみというプリンターも多いです。プリンターの背面を壁にぴったりくっつけていて、手差し印刷が使えないという人は要注意。
作品のクオリティアップは紙選びから
デジタル絵画/デジタルイラスト作品をあまり印刷したことがない初心者さん向けに、高級インクジェット紙の選び方をまとめてみました。
おそらく最初はどのメーカーが良いのか、どれくらいの価格帯のものに満足できるのか、自分でもよくわからないかと。
印刷は実際やってみて経験を重ねないと勘が育たないので、まずは竹尾のお試しセットから始めてみることをおすすめします。
そこでどんな感じかわかったら、実際紙を買ってしばらく使ってみる、同価格帯の他社メーカーの紙をあたってみる、など少しずつ手を広げてみてはいかがでしょうか。もし良い紙を見つけたら、ぜひ教えてください(*^^*)
他社の高級インクジェット紙では、こんなところも気になっています。
バーニッシュでさらに絵が化ける
それから作品のテイストにもよりますが。高級紙で印刷した上から、バーニッシュ(ニス)を塗ると、さらにもう一段階化けます。少し手はかかりますが、興味のある方はぜひチャレンジみてくださいね。
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